はさみ男asin:4061820885:5あらすじだけでおもしろいと分かる名作

ハサミ男 (講談社ノベルス)

ハサミ男 (講談社ノベルス)

連続美少女殺人事件。死体の喉に突き立てられたハサミ。その残虐性から「ハサミ男」と名付けられたシリアル・キラーが、自分の犯行を真似た第三の殺人の真犯人を捜す羽目に……。一体誰が、自分より先に彼女を殺したのか? 警察すらハサミ男の犯行と見なした今、真実にたどり着けるのはハサミ男一人だけ……。 

探偵役が殺人鬼、犯人を捜すのは自分の獲物を先に殺されたから――
設定からして既に秀逸で、でもだからこそ“そこ”で終わりだと早とちりしていた。しかしこの作品は“そこ“で留まることはない。
謎解きのシーンが始まった時、一瞬意味が分からず、足を止め考えた。そしてようやくトリックに気付いた時の驚きは、正にミステリが持つ魅力そのものだろう。
一度読み終えてから、作者の意図を想像しつつもう一度読み返す。その作業をしないではいられない。
ミステリを読み慣れていないために、ジャンルとしてのおもしろさと、この作品のおもしろさを混同していないかが気がかりだが、それを差し引いてもこれはおもしろかった。